小林正観さんに学ぶ「子育てしない子育て」のすすめ|名言集

小林正観さんに学ぶ「子育てしない子育て」のすすめ|名言集

心学研究家として多くの人々に影響を与えてきた小林正観さん。彼が提唱する子育て論は、一般的な「こうあるべき」という教育観とは一線を画し、子どもも親も楽になるヒントに満ちています。

その核心にあるのは、「子育てしない子育て」という独自の哲学です。

「子育てしない子育て」とは?

この言葉を聞くと、驚く方もいるかもしれません。しかし、これは「育児放棄」を意味するものではありません。

正観さんの言う「子育てしない子育て」とは、親が子どもを自分の理想通りにコントロールしようとせず、子どもが本来持っている力を信じ、温かく見守ることを指します。

親が「こうしなさい」「あれはダメ」と子どもと向き合ってしまいがちですが、正観さんは、むしろ親は子どもに「背中」を見せて、自身の人生を前向きに進んでいく姿を見せることが大切だと説きます。

子どもは親の背中を見て育つのです。

子育ての本質は「芽を摘まない」こと

正観さんは、子育ての本質を「その子どもの芽を摘まないこと」だと定義しています。

親が良かれと思ってあれこれと手を出したり、修正しようとしたりすることが、かえって子どもの可能性を摘んでしまうことがあるのです。

子育てが重荷に感じるのは、親が「何とかしてあげなければ」という思いから、必要以上に手を出そうとしているからかもしれません。

そうではなく、子どもがキラリと見せた良い部分や才能の片鱗を見つけたら、「あなたのこういうところが素敵だね」「この部分もすごいね」と、まるで一人のファンになったように喜び、褒めてあげるだけで十分なのです。

「そのままでいい」という無条件の受容

小林正観さんの子育て論で最も重要なキーワードの一つが、「そのままでいい」という考え方です。これは、子どもを無条件に受け入れることを意味します。

例えば、もし子どもに障害があったり、他の子と比べて発達が遅かったりしても、「この子は、この子のままでいい」と心から受け入れることができれば、子育ての悩みは驚くほど軽くなると正観さんは言います。

「体調が良い時も悪い時も、あなたが目の前にいてくれるだけでいい。私はあなたをそのまま受け入れる」という気持ちが、親自身の心の安定にも繋がります。

そして、子どもを他の子と比べることは、基本的に間違った見方だと指摘します。一人ひとりの子どもが、必ず素晴らしい個性や能力を持っています。

親は「あなたは、そのままでいいよ。それでよし」と伝えてあげることで、子どもは自己肯定感を育み、本来持っている能力をスムーズに開花させることができるのです。

子どもは「母親を励ますため」に生まれてくる

正観さんは、生まれる前の記憶を持つ子どもたちとの対話から、非常に興味深い共通点を発見しました。

多くの赤ちゃんが生まれる前に「寂しそうにしている女性が見えた」「その女性を励ましたい、なぐさめたい」と思い、その女性のお腹の中に入ってきたと語ったそうです。

つまり、子どもは「母親を励ますため」に生まれてくる存在だというのです。この深い認識を持つことができれば、私たちは子どもを叱ったり怒鳴ったりすることができなくなるでしょう。

子どもは、いつも温かい眼差しで、優しい心で母親を見守ってくれている、かけがえのない存在なのです。

天才を育てる母親たちの共通点

エジソン、野口英世、チャップリン、ライト兄弟、手塚治虫など、歴史に名を残す「天才」と呼ばれる人々の共通点を研究した正観さんは、彼らを育てた母親たちに共通の特徴を見出しました。

それは、子どもの本来持っている個性や能力の「芽を摘まなかった」ことです。

これらの母親たちは、幼い頃から子どもの興味や関心を否定せず、常に肯定的な環境を提供しました。

母親からいつも肯定されている子どもは、自分の関心事を臆することなく追求し、持って生まれた能力をスムーズに開花させることができたのです。

心理学の「初期印象効果(インプリンティング)」を用いて、母親が子どもにとって「初めての恋人」や「初めてのお手本」であることを考えると、その影響の大きさが理解できます。

成績よりも「人間性」を重視する子育て

正観さんは、「成績なんてたいしたことではない」と明確に述べています。

彼が本当に大切だと考えたのは、人の価値は、勉強の成果や成績の高さではなく、その人の持つ笑顔や優しさこそが真の価値である、という考え方です。

現代社会では、とかく成績や競争に目を向けがちですが、正観さんのこの考え方は、私たちに子育ての真の目的を問い直させます。

子どもがどのような大人に育ってほしいか、その本質を見つめ直すきっかけとなるでしょう。

子育てのコツ:「逆リア王」の子育て論

正観さんの子育て論は「逆リア王的子育て論」とも呼ばれます。

これは、子どもがどんな道を歩もうとも、たとえ傷ついてボロボロになって帰ってきても、親はいつでも「あなたは、いつでもここに帰ってきていいんだよ」と、無条件の愛情で受け入れてあげることです。

「甘やかすこと」と「芽を摘まないこと」は異なります。一般的に気になることについては、笑顔で穏やかに伝えても良いですが、あくまで子どもの個性や可能性を信じ、それを尊重することが大切です。

まとめ

小林正観さんの子育て論は、親が「頑張って育てる」という重荷から解放され、子どもが本来持っている力を最大限に引き出すためのヒントに満ちています。

子どもを「そのまま受け入れ、見守る」というシンプルな哲学は、現代社会における親子関係のストレスを軽減し、子どもたちが笑顔で自分らしく成長するための実践的な智慧として、これからも多くの人々に支持され続けることでしょう。

あなたの子育ては、どんな「芽」を大切にしていますか?